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キズあと(瘢痕・肥厚性瘢痕、ケロイド)

やけどやその他のけがの程度は年齢や受傷原因が様々です。受傷部位、受傷後の時間、受診までの処置、基礎疾患の有無、創部の解剖学的部位、合併症の有無、外力の大きさ、細菌汚染の程度、創の形状などが、キズあとの要素として重要になります。キズあとは瘢痕(はんこん)と言われ、その経過によって、肥厚性瘢痕、ケロイドと言った状態を呈することもあります。

皮膚の構造

皮膚は大きく分けて表皮と真皮から構成されます。表皮はそのほとんどが表皮角化細胞といった細胞成分から構成されます。一方で真皮はほとんどが細胞外成分であるコラーゲンやエラスチンといった、線維成分で構築されており、その中に細胞成分(線維芽細胞など)が存在します。皮膚全層のうち、表皮の厚さは1/10かそれ以下です。

傷が治る大原則

上記の通り、表皮と真皮は全く別もので、表皮は再生しますが、真皮は再生されることはなく修復されるだけです。つまり、傷が治るということは、真皮が修復された表面を表皮が再生されて被覆することにより達成されます。真皮が修復された表面に表皮が再生された部分では、正常皮膚とは違う外観を示すようになり、これがいわゆる傷あとです。つまり、真皮の深い部分まで損傷を受けた場合は、キズあとが残ると考えていただければと思います。

キズあとの経過

表面に皮膚が張った状態で、キズが治った状態になります。そのあとには主に真皮の部分である代用組織(肉芽組織)が少しずつ分解され、支持性と抗張力を持った成熟した瘢痕組織に再構築されていきます。この過程を成熟期と呼び、通常6ヶ月を要すとされますが、年齢、個人差や部位による違いもあり、2~3年を要すこともあります。

成熟期には、まず組織骨格構造形成に重要なコラーゲン組織からより強度の強いコラーゲン組織へと置き換わり、さらにより太くなり、支持性がが増していきます。また、当初組織の治癒を促すために大量に入り込んだ血管が瘢痕が成熟するに従って減少し、さらに線維芽細胞もその数が減少するため、赤みが消失し、さらに軟らかくなっていきます。

肥厚性瘢痕・ケロイド

キズあとが正常な過程で修復されなかった状態を肥厚性瘢痕やケロイドと言った状態です。両者とも皮膚の線維増殖性疾患です。

肥厚性瘢痕は、炎症や外傷後、受傷部位の範囲内で徐々に隆起する赤褐色の硬い腫瘤です。一方ケロイドは、同様な腫瘤が周囲の正常組織に赤みを伴って周囲に浸潤し進行性に増大します。

同様な傷を受けたとしても、体質や同一の人でも身体部位や創部の状況によって、肥厚性瘢痕・ケロイドになる場合とならない場合があります。その発生要因として、遺伝的素因、年齢(若年者ほど肥厚性瘢痕・ケロイドの発症率が高い)、皮膚の色調(黒色人種においてケロイドの有病率が高い)、アレルギの既往が考えられています。

また肥厚性瘢痕・ケロイドの発生に関わる環境要因としては、細菌感染(感染を起こすほど肥厚性瘢痕・ケロイドの頻度が高い)、創部にかかる力学的張力(創部にかかる力学的張力が大きいほど肥厚性瘢痕・ケロイドの頻度が高い)や身体部位(日常生活でよく動き、皮膚に緊張がかかりやすい部位は肥厚性瘢痕・ケロイドの頻度が高い)などが挙げられます。

肥厚性瘢痕・ケロイドの治療

手術しない方法
1)内服薬

トラニラストの内服の有用性が報告されています。ただ、トラニラスト単独で早期に病変の退縮が得られるわけではなく、掻痒感や疼痛などの症状を緩和させる作用が主で、他の治療法と併用で処方されることが多いです。

2)外用薬

副腎腎皮質ホルモン剤の軟膏やテープが用いられています。テープ剤による正常皮膚の菲薄化が見られることがあるため、正常皮膚には貼付しないことが重要です。

3)ステロイドの局所注射

トリアムシノロンの局所注射が行われています。単独でも治療効果は高く、また手術の補助療法としても使用されることがあります。月に1回程度で改善が認められるまで行いますが、硬い組織に注入するため、強い痛みを伴うことが多いです。問題点としては、注入しすぎると、周囲皮膚や脂肪組織の萎縮が生じることがあります。また、ニキビの悪化、月経周期の乱れを認めることもあります。

手術治療

単純に切除するだけであれば、再発する可能性があります。肥厚性瘢痕・ケロイドの原因が、創部にかかる力学的張力であるため、そもそものキズが皮膚欠損によるものであれば、不足する皮膚を近接した皮膚でカバーする皮弁移植や植皮術が必要になることがあります。また、関節部位などの日常生活でよく動き、皮膚に緊張がかかりやすい部位は皮膚を入れ替えたりすることで、突っ張りを解除する必要があります。ケロイドに比較して、肥厚性瘢痕では再発のリスクが比較的少なく、一般的な後療法(テーピングや圧迫療法)で十分なことが多いですが、ケロイドの場合は、ステロイドの局所注射や放射線照射などを併用することで、再発を防ぐ必要があります。

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