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できもの(粉瘤、ほくろ、いぼ等)

皮膚の表面にできて直接見えるできものや、見えないが触れるようなものであったりなど、様々な種類のできもの、あざがあります。見えるものには、ダーマスコープといった拡大鏡で診察します。見えないものは、超音波検査で腫瘤の性状を確認し、診断につなげます。治療には、手術、レーザーなど、疾患に応じて治療が異なってきます。

疾患によって、その好発年齢が異なっており、ここでは、各世代によってできものを分類して、解説します。

  1. 生後~小児期
  2. 思春期~青年期
  3. 中高年期~老年期

1)生後~小児期

皮様嚢腫

生まれながらに、目の周りや、鼻の付け根に多くできる、良性の皮下腫瘍です。その部位と触診である程度の診断は可能ですが、骨との関係性を確認するため、CT検査を行います。少しずつ大きくなるため摘出術が必要ですが、手術時期が幼少期であるため、全身麻酔下での手術が多いです。

いちご状血管腫

生下時ははっきりしないことが多く、生後1週ごろより徐々に赤みを伴い、約6ヶ月間増大して赤色の腫瘤を形成します。その後は徐々に小さくなり、多くが学童期までに消失しますが、赤みは消失する一方で、縮んだ腫瘤が残ることがあります。自然に消退する一方増大傾向が強い場合やまぶたにできたことで視機能に問題が生じる様な場合は、治療が必要になることがあります。早期のレーザー治療やβブロッカーの投薬で治療されています。また、消退後の縮んだ組織が目立つ場合は、切除手術が行われます。

石灰化上皮腫

毛穴の細胞からできる良性腫瘍で、顔、頚部、四肢に多いとされています。表面はやや青みががって見え、骨様の硬さを認めることが多いです。少しずつ大きくなるので、治療は摘出術になります。

スピッツ母斑

色素性母斑(ほくろ)の特異型で、色調は赤色調から褐色調と様々です。

若年性黄色肉芽腫

幼少時期の頭部、顔面に好発する良性腫瘍です。赤褐色から黄色と単横色調を呈することが多く、赤褐色のものではスピッツ母斑との鑑別が難しいとされています。ほとんどが自然消退するとされています。

脂腺母斑

生下時より認め、主に頭部の脱毛斑として認め、毛が生えないとの訴えで受診されることが多いです。年齢が進むと褐色のイボ様の隆起として腫瘤形成を認めます。将来的に、悪性化の可能性があるため、全切除されることが望ましいです。

表皮母斑

主に顔面や頚部に多く認めます。生下時から認める、イボ様の隆起が数珠状に認めるのが特徴です。全切除または、レーザーによる削除が一般に行われます。

副耳

生下時から、耳から口角を結ぶ線上に見られる腫瘤です。様々な形態を呈し、顔面の他の合併症を認めることがあります。

2)思春期~青年期

色素性母斑

幼少時は平らな褐色から黒色のいわゆるほくろが、徐々に増大、隆起してきます。治療は小さいものだと炭酸ガスレーザーによる切除、または大きさや部位によっては手術による摘出術が傷跡を目立ちにくくさせる場合があります。大きさによっては近接した皮膚をずらしたりすることで、傷跡を目立たなくさせる工夫が必要となることがあります。ごく稀に悪性黒色腫といった、ほくろのがんを認めますので、注意が必要です。また、青色を呈したほくろで、青色母斑といわれるものがあります。

粉瘤、類表皮嚢腫

皮膚表面から半球状に隆起する皮下腫瘤で、何らかの原因で皮膚の一部が埋入することで起こります。よく見るとその頂上付近に開口部である黒い点状のものを有することが多いです。内容物は垢のため、匂いを発したり、袋が破れて炎症を起こすことで急激に腫れ上がり、激しい痛みを生じることがあります。治療は摘出になりますが、炎症のない場合はいわゆる”くり抜き法”で摘出すると傷を小さく済ますことができます。一方炎症を起こしている場合は、くり抜き法では取り残しによる再発を認めることがあるため、その適応は慎重に選択する必要があります。

脂肪腫

皮下に柔らかい腫瘤として触れることが多いです。脂肪が存在する部位にはどこでも発生します。少しずつ大きくなるため、治療は摘出になります。脂肪腫の存在する位置によっては、筋肉内にあったり、神経が存在したりするため、解剖を十分理解した上での手術が大事です。稀に脂肪肉腫といったガンとの鑑別も必要です。

皮膚線維腫

茶褐色のドーム状の硬い隆起として、主に腕や太もも、下腿などの四肢に多く認めます。良性腫瘍のため、手術での切除により治癒します。

3)中高年期~老年期

脂漏性角化症

身体中のどこにでも発生しますが、特に紫外線の皮膚障害の一部として顔面などの露光部に発生することが多く、一般的には、中高年期以降に発生するとされています。扁平またはドーム状隆起として、褐色から黒色の外観を呈します。良性腫瘍ですが、前癌病変である日光角化症や基底細胞癌などの悪性腫瘍との鑑別がつきにくい場合があるので、病理組織学的診断が必要になります。

眼瞼黄色腫

まぶたにできる、扁平に隆起する黄色調の腫瘤で、大きさは様々です。高コレステロール血症に合併することが多いとされています。治療は手術での切除や炭酸ガスレーザーによる削除が一般的です。

外骨腫

頭がい骨の外側の骨の一部が盛り上がった状態になり、主に前額部に骨様の硬い腫瘤として触れることができます。CT検査が有用です。治療は手術による摘出です。

基底細胞癌

皮膚がんの中では最も頻度が高く、約8割が顔、首に発生します。転移することも稀で、手術による切除のみで完治することが多いガンです。

有棘細胞癌

皮膚がんの中では、基底細胞癌に次いで頻度が高いとされています。紫外線による発がんであることが多く、切除による病理組織学的に診断後、全身の精査、治療が必要になります。

その他の皮膚がん

悪性黒色腫、脂腺癌、メルケル細胞癌、隆起性皮膚繊維肉腫など鑑別が重要になります。安易に摘出すると、その後の治療に影響を及ぼすこともあるので、十分に評価後の治療が大事です。

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