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こどものやけど

熱傷は、小児が受傷する外傷のなかでも最も頻度が高いものの一つです。その治療にあたっては、全身的にも局所的にも小児としての生理学的特徴を考慮したうえで治療を進めることが大切です。初期治療においては、熱傷面積の計算や輸液の仕方などに、成人と異なった考え方が必要です。また、広範囲熱傷の場合、救命のために、積極的に日本スキンバンクネットワークからの皮膚提供を受ける必要があります。

 一方、小児熱傷では治療は初期治療のみにとどまることはなく、成長に伴って生じる四肢や頚部の瘢痕拘縮(ひきつれ)などの諸問題にも、適切な対応を継続しなければなりません。たとえば、手の熱傷では、熱傷が治癒した後に、瘢痕により指の曲げ伸ばしが不自由になることが多く、スプリント療法を行ったり、二次的に形成外科的な手術必要になったりします。

 そのほか、集団生活をスムーズに行うためのサポート、醜形にともなう精神的ストレスに対する援助など、患児のQOLを高める治療を家族と共に継続していくことも重要です。

 形成外科ではこれらをふまえて、長期的計画を立て、小児熱傷の初期治療から瘢痕拘縮などの長期的な治療までを一貫して行っています。

 

予防

 小児熱傷の受傷状況は、小児の知的発育と運動能力とに密接な関連性を持っていると同時に、小児の生活環境に大きく影響されています。つまり、小児の熱傷事故のほとんどは、各年代における特有な受傷パターンがあります。

 一例をあげますと、小児が顔面から頚部、前胸部にかけて熱い液体(お茶、コーヒー、みそ汁、カップラーメンなど)をかぶって受傷する熱傷は1~3歳頃に多くみらます。これは好奇心が増すこの年代の小児の身長と家庭用テーブルの高さが関連しており、この年代特有の受傷機序です。小児を保育する立場にある大人が、このような典型的な受傷のし方を前もって知ることができれば、小児熱傷事故の多くが未然に防止できます。

 一方、シュレッダーの普及とともに小児の指切断事故が増加したのと同様に、新しい生活用品に起因した熱傷事故も増えています。例えば、炊飯器や加湿器の湯気による蒸気熱傷、温風ヒーターの温風による熱傷など、以前には予想も出来なかった熱傷事故も増加しています。これらを防止するために、このような製品の危険性に対して、大人が日ごろから認識しておくことが大切です。小児熱傷の最良の治療は、事故発生の予防である、と言っても過言ではありません。

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