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熱傷(やけど)

やけどの受傷原因は様々で、日常的にありふれた外傷ですが、その治療には初期から専門的な施設での治療が必要なこともあるので、その重症度を出来るだけ正確に判定することが重要です。重症度の判定には、その深さと受傷した範囲が重要になります。さらに、受傷部位や年齢、基礎疾患の有無なども考慮し総合的に判定します。軽症・中等度症の場合でも治った傷跡(瘢痕)がケロイド、拘縮(引きつれ)などの後遺症を起こすこともありますので注意が必要です。

 やかんやポットの湯、コーヒーやお茶、てんぷら油、最近ではカップ麺の湯などによる高温の液体によるものが最も多い原因です。次いで熱性固体(ストーブやアイロンなど)の接触によるものです。最近では、電気炊飯器やポットの水蒸気の噴出し口や、ファンヒータの吹き出し口に触れてしまう幼児の熱傷が増えておりますので、小さいお子さんがいらっしゃるご家庭では気をつけてください。湯気は、熱湯以上に温度が高いので、特に注意が必要です。

深さの診断

やけどの深さは、熱源の温度、接触時間、圧力、皮膚の厚さによって決まり、Ⅰ~Ⅲ度に分類されます。皮膚が薄い小児や高齢者では同じ受傷状況でも深くなりやすい傾向があります。

I度熱傷

損傷が表皮までにとどまるやけどです。受傷したところは、赤く、腫れたりしますが、水疱(水ぶくれ)は認めません。痛みは認めますが、数日以内に傷跡を残さずに治癒します。

II度熱傷

損傷が真皮までにとどまるやけどで、さらにその深さによって浅逹性Ⅱ度熱傷と深逹性II度熱傷に分けられます。

浅逹性II度熱傷では、痛みが強く、水疱ができ、水疱の下は赤色であることが多いです。適切な保存的治療を行うことで、2週間以内に瘢痕を残さずに治癒しますが、炎症後の色素沈着を残すことがあります。

深逹性II度熱傷では、知覚神経の損傷により、鈍く、痛みも軽度です。水泡ができますが、水泡の下は白色であることが多く、2週間以上、場合によってはⅠヶ月以上の治療期間が必要で、傷跡を残すことになります。

浅逹性II度熱傷と深逹性II度熱傷は混在することも多く、また経過とともに進達度が進行することもあります。

Ⅲ度熱傷

皮膚の全部、時には皮下脂肪や、筋肉、骨まで及ぶやけどです。白~褐色を呈し、時には黒色の硬い組織に変性していることもあります。皮膚の知覚神経に損傷が及ぶため、痛みはありません。Ⅲ度熱傷創は皮膚の感染防御機構が破綻しており、感染源になるため、早期に壊死組織の除去が必要になります。

面積の診断

手軽に行える方法として、手の大きさが約1%とする方法があります。

大きさ(面積)については、自分の手のひらの大きさが体表面全体の1%に相当します。II度熱傷が10個分の大きさ以上(10%以上)、III度熱傷が2個分以上(2%)ありますと、入院治療の適応となります。

重症度の判定

一般的には、成人ではⅡ度30%以上、小児ではⅡ度15%以上を重症熱傷として、全身管理が必要になります。

軽傷の場合の初期治療

日常生活において受傷する機会の多い小範囲のII度熱傷以下について説明します。

冷却

やけどの深さは熱源の温度と皮膚への作用時間により決定され、また組織内温度が44℃を上回ると組織障害が進行するため、局所の冷却により皮膚面の異常な熱を速やかに取り除き、組織破壊を最小限にとどめることが大事です。冷却法としては、水道水などの流水(10~15℃)での水冷が最も効果的とされています。また、疼痛緩和、浮腫の軽減、炎症の抑制などにも有効である一方で、冷却のしすぎは、局所の血流不全を起こし創治癒を遅らすことも懸念され、さらに広範囲の場合は低体温を招くこともあり、適切な時間での冷却が重要です。

水疱の処置に関して

水疱膜は、疼痛軽減、創面保護、上皮化促進作用を認めるため、可能な限り温存するべきとされています。一方、7~10日以上経過しても縮小傾向のない水疱は深逹性II度熱傷の可能性が高く、時間の経過とともに感染のリスクも高まるため、水疱膜を除去して管理を行います。II度熱傷であれば、大抵の場合、消毒と軟膏治療で治りますが、ひとたび細菌感染をおこしますと、損傷は深くなり治癒までに時間がかかるだけでなく、その後、瘢痕やケロイド,拘縮などの後遺症を招くことになります。従って、例え小範囲の熱傷であっても、形成外科などの専門医の診察を受けた方が良いでしょう。

 

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