乾燥肌の改善
乾燥肌の原因は、季節や生活する環境によるものもありますが、生活習慣や加齢が関わっている場合もあります。
水分量が適度に高く潤った角層は柔軟性に富むが、乾燥した角層は硬く、張力がかかると表面に亀裂が生じることがあります。また、乾燥皮膚では知覚神経が角層直下の表皮内まで侵入し、かゆみに対して過敏な状態になっていることが示されています。
角層内には、水と結びつきやすい天然保湿因子が存在します。天然保湿因子には、遊離アミノ酸、乳酸、尿素、ピロリドンカルボン酸などがあり、天然保湿因子として水を保持する働きを担います。
また、汗由来の乳酸や尿素も角層の水分保持に関与します。
顔面では正中ほど毛包密度が高く皮脂分泌量が多いため、額、鼻とその周囲、口の周囲から顎のいわゆるTソーンは表皮脂質量が多く、頬の外側部分であるUゾーンは表皮脂質量が少ないです。
顔面の肌質で乾燥肌という場合は、皮脂分泌量・表皮脂質量が少なく、毛孔開大の少ない肌質をさします。一方で、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎などの皮膚炎に伴う落屑の様な角化異常を見誤ることもあり、注意が必要になります。
スキンケアでもっとも大切なことは皮膚を乾燥から守ることといわれています。皮膚の保湿を司る主役は皮膚自らが作り出す自家保湿成分(セラミドを主成分とする細胞間脂質とアミノ酸を主成分とする天然保湿成分とからなる)で、保湿効果の98%~99%はこれらが担っているとされ、皮脂膜が担っている保湿効果は極めて少ないと考えられています。皮脂膜の役割はオイルやクリームで代用できますが、自家保湿成分の効果は何をもっても代用できないため、できるだけこれを失わないことがスキンケアの基本となります。また、メーク落としペーパーで拭き取る、クレンジングで擦りコットンで拭き取る、洗顔で擦る、タオルで擦る、クリームをすり込む、ファンデーションを指またはスポンジですり込むなどの「擦る」行為の毎日の繰り返しは、角層(自家保湿成分)までも確実に擦り取るため、皮膚は保湿能力を失い慢性的に乾燥します。
以上より洗顔では、基本的には皮膚表面の汚れを含んだ化粧品と皮脂膜だけを洗い流すよう心がけてください。
クレンジングや洗顔の方法が間違っていたり、保湿ケアが不十分でも乾燥肌になります。肌の乾燥がひどくなると、かゆみだけでなく炎症や湿疹を発症することもあります。
また、肌を乾燥した状態で放置しておくと、急速に老化が進んでしまいます。しわやしみの原因にもなることもあります。
日常的に肌を乾燥させないためのケアをすることが大切です。